世界の古典と賢者の知恵に学ぶ言葉の力
著 者:シン・ドヒョン/ユン・ナル
出版社:かんき出版
ISBN13:978-4-7612-7488-7

言葉を磨きたいなら、まず器を磨いた方がいい

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

AyeMohMohHtun(エーモモトゥン) / TRC 営業デスク
週刊読書人2020年9月4日号


「言葉の力」という書名は書店に行けば山ほどあり、ほとんどの内容は職場での言葉遣い、言い回しなどについて書いてある。最初はこの本もこの中の一つに違いないと思ったが、タイトルの「世界の古典と賢者の知恵に学ぶ」というところに興味を持った。中国戦国時代の有名な哲学者や人文学者たちが人間と人間の間に生まれる言葉、会話、無知による会話の問題などについての思想を集約している書でもある。これは日常生活に反映されるとともに、人を相手にして商売している企業、法人、コミュニティーにも重要な知恵であると言える。読みながら自分の日常生活に反映して解釈をしてみたり、考察したりすることで人間関係について理解を深めることができた。以下に本書のポイントを挙げる。
 
 言葉を磨きたいなら、まず器を磨いた方がいい。口を開くたびに他人とトラブルになったり、逆に自分の感情を内に閉じ込めたりするのは人間の器に問題があるからである。感情に支配されないことが重要であるとともにそれを適切な言葉で表現することが大事である。誰にでも世界観はあり、観点が変わってこそ言葉も変わる。心に主体性のない人の言葉は空虚である。感覚より大切なのは心であり、さらに心より重要なのは知性である。知性より重要なのは自我である。それは知性を自分なりに解釈することで知性は知恵になることである。
 
 また、偏見を捨てることで、あるものに対して勝手な決めつけをする言葉を止めることができる。自分が信じる神と他人が信じる神が異なるように、自分が考えるその人の姿とその人自身は異なる。その人に対する先入観や偏見を捨てなければならない。自分勝手に色付けたその人に対するイメージを消した時、初めてその人と出会うことができる。
 
 人と会話する時、話の中身と形式は一致しないので、言葉の形式や礼儀にこだわると、お互いに気分を害する。話下手でも価値のある話を真剣に話す人もいれば、言葉巧みでもその中身は空っぽという人もいる。しかし、言葉遣いに気をつけたほうが世渡りに都合がいい。公的の場では強い表現が良くて日常にはソフトな表現が相応しい。自分が話す時は礼儀作法に気をつければ相手は自分の話に耳を傾けてくれる。一方、相手の話を聞く時は内容だけに傾ければ相手の口調のせいで傷つくことは減る。 会話の中で、質問されることは自分への信頼の証である。質問は一方通行ではなく、お互いに自由に行き来することから信頼関係が生まれる。その信頼関係を持続するためには受け身になるばかりではいけない。時と場合に応じた適切な言葉で自分の感情を表現することが、自分の精神衛生と相手との関係の持続のためにもなる。それは手応えのない冷たい会話よりずっと良いのである。
 
 最後に、言葉には3つの法則があり、それは、考察すること、根拠があること、実践することだ。これはビジネスの世界にいる人たちが念頭におくべきことである。