平成16(2004)年
2月11日 吉野家が牛丼販売休止へ。
BSE問題で米国産牛肉の輸入が禁止されたため。牛丼から豚丼へ。
アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」
著 者:中川裕著、野田サトル画
出版社:集英社(集英社新書)
ISBN13:978-4-08-721072-9
アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」
図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)
週刊読書人2020年10月16日号(3361号)
この本は,漫画『ゴールデンカムイ』(野田サトル著 集英社 2014~)のアイヌ語監修者による公式解説本であり,アイヌ文化の入門書でもある。『ゴールデンカムイ』は,日露戦争の帰還兵杉元が埋蔵金を求めてアイヌの少女アシ パと旅に出るという,明治時代の北海道を舞台とした冒険,バトル,狩猟,グルメ満載の物語である。
『ゴールデンカムイ』を読んだ人はもちろん,読んだことがなくてもアイヌ文化(言語,物語,信仰,食生活等)についてイメージしやすい例えが用いてあり,わかりやすく解説されている。
アイヌの文化には特徴的なものがあるが,なぜそうなのかを知ると,なるほどと納得するものは多い。たとえば,名前のつけ方には「自分たちが知っている誰かと同じ名前をつけてはいけない」,「生まれてすぐではなく性格や能力がハッキリしてきたころにつける」,「正式な名前がつくまではわざと汚い名前をつける」といったルールがある。現代日本にみられるキラキラネームからは考えられない名づけ方だ。しかしこれは,他の人の災いが同じ名前のものにも来ないようにとか,名前負けしないように等の考えからくるものである。
食に関しては,その季節のもの,いわゆる旬のものを食べ,狩りで捕らえた動物(ウサギ等)はすべて食べる。皮も何かに利用したり売ったりして無駄なく使いきる。これを残酷だととらえる人もいるかもしれないが,作物や獲物がとれたことに感謝し,いただいたものを無駄にしない精神は現代の私たちが忘れがちなことのように思える。
巻末のブックガイドや,『ゴールデンカムイ』に掲載されている参考文献で,さらにアイヌ文化について学びを深めることもできる。2020年7月には,北海道白老町に国立アイヌ民族博物館が開館された。きっとその魅力に引き込まれることだろう。