知りたくなる韓国
著 者:新城道彦,浅羽祐樹,金香男,春木育美
出版社:有斐閣
ISBN13:978-4-641-17449-8

知りたくなる韓国

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

平井真理 / ふじみ野市役所,元ふじみ野市立図書館
週刊読書人2021年1月22日号(3374号)


 韓国好きの人にはよくある話と笑われてしまうであろうが,たまたま好きになった芸能人が韓国人だった。そして動画を見たり,新大久保に行ったり,韓国語をかじっているうちに,歴史や文化に興味を持ち,本を読み,現地を訪れ,気がつけばこの数年,この国に興味を持ち続けている。

 日本の書店にはいわゆるヘイト本も結構な数が置かれているが,その隣に同じ冊数だけこの本を置いてほしい。一見地味な(いや,上品なのだ)装丁だし,教科書のようにも見えるから手に取りづらいかもしれない。けれどこの本には韓国の今までの歴史から政治,社会,文化まで全方位的といっていいくらい網羅してある。そして読書が苦手な人にも読みやすいように口語体で書かれているので韓国通の先輩から話を聞いているような中身になっているのだ。例えば文化の章の中で,日本の小説やマンガについて,韓国の大型書店で扱われている日本語のエッセイや小説のコーナーの風景とともに,村上春樹と東野圭吾の翻訳本が出るたびベストセラーになることや,マンガは『神の雫』(オキモト・シュウ著 講談社 2004~2014)が世代を超えた社会現象となり,韓国におけるワインの普及と売り上げに多大な影響を及ぼしたことなどが書かれている。

 実際行ったことがある人にはそうそう,と思う場面がたくさん出てくるとともに,コラムがまた,今の韓国を知るうえでとても役立つものになっている。そして巻末の,韓国をより深く理解するのに役立つリストには映画と本が紹介されているのだが,このラインナップが素晴らしい(もちろんアジアで初めてアカデミー賞を獲った『パラサイト(寄生虫)』(2019)も載っている)。韓国好きな人もそうでない人も,題名どおり,知ってほしいという4人の著者の思いがひしひしと伝わるのである。