江戸のスポーツ歴史事典
著 者:谷釜尋徳
出版社:柏書房
ISBN13:978-4-7601-5284-1

スポーツの「楽しさ」を改めて考えさせてくれる事典

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

辻和人 / TRC仕入部
週刊読書人2021年2月19日号


 江戸時代のスポーツの在り様を項目ごとに整理して紹介した事典。スポーツという概念を広く捉え、庶民がどのように楽しんできたかを明快に解説しており、ページをめくる度にワクワクしてくる。

 第一部「全身を使う」では、「走る」「歩く」「旅」「踊る」の章が設けられ、鬼ごっこや伊勢詣、盆踊りや歌舞伎などが取り上げられる。第二部「用具を使う」では、「投げる」「飛ばす」「ボールゲーム」の章が設けられ、独楽まわし、凧揚げ、けん玉、蹴鞠などが取り上げられる。第三部「力と技と頭を使う」では、「力くらべ」「技くらべ」「知恵くらべ」の章が設けられ、綱引き、剣術、囲碁・将棋などが取り上げられる。

 著者は「前近代の日本のスポーツは、その定義を『遊び』にまで広げた方が、貴族、武士、庶民という各階層で営まれてきた伝統的なスポーツ文化を捉えやすい」と書いている。ここに描かれた純粋に楽しみを追求するスポーツの姿は、勝敗や記録に拘りがちな現代のスポーツの在り方に対し、問題を投げかけてくるかのようである。