国鉄 上野駅24時間記
著 者:荒川好夫
出版社:グラフィック社
ISBN13:978-4-7661-3474-2

「北の玄関口」としての重み

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

辻和人 / TRC仕入部
週刊読書人2021年4月9日号


「本書は、国鉄本社広報部専属カメラマンであった荒川好夫氏が、1970年11月、1971年8月、1975年4月に上野駅の内外を24時間以上にわたって撮り続けたルポルタージュを編纂した写真集である」(「解説」より)。「北の玄関口」と呼ばれた30年前の上野駅の重みがずっしりと伝わってくる本だ。

 寝台列車のリネンを積んだ台車、大きな竹籠を背負った行商のおばあさん、中長距離列車で発生した大量のゴミの片付け、金額別になっている自動券売機、乗車口近くで赤帽さんから荷物を受け取る客、窓越しに別れを惜しむ姿、新聞紙を敷いてホームで列車を待ち続ける人々、大活躍の弁当販売台車、お盆の帰省時に対応した臨時の待ち合わせ場所「テント村」。

 全体に高度成長期の活気が漲っており、職員も客も実に忙しそうだ。一方で戦後の貧しさの影も残っている。地方と中央が交差する上野駅は、当時の日本の縮図だったのだろう。