あるあるデザイン 言葉で覚えて誰でもできるレイアウトフレーズ
著 者:ingectar-e
出版社:エムディエヌコーポレーション:発行 インプレス:発売
ISBN13:978-4-8443-6842-7

あるあるデザイン 言葉で覚えて誰でもできるレイアウトフレーズ集

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

菊地伸江 / 南相馬市立中央図書館
週刊読書人2021年5月14日号(3389号)


 イベントのポスターや企画展示のパネルなどを作るとき,ある程度見栄えするように,しかしなるべく時間をかけずに作りたいと思うなら,手本になるものがあると心強い。本書はデザインレイアウトでよく使われる手法を,テーマごとに作例を示しながら紹介する。技術について専門的な解説があるわけではないが,デザインの引き出しを短時間で増やすことができる1冊だ。

 さて,どのようなデザインが飛び出してくるのだろうか,とページを開くと「だいたいツートーンでいける」(p.12)。初手からシンプル極まれり。しかしながら作例を見れば,確かに,とうなずかされることだろう。実際に作って試していただきたいが,背景色を黒にし,モノクロにした写真で画面の半分を埋めるだけで驚くほど様になる。

 卑近な例で恐縮だが,何度か本書を参考にMicrosoft Wordでポスターを作ったことがある。手本があることで作業工程が減り,時短につながった。にもかかわらず,評判は上々だった。講師の写真を目立たせたい講演会のポスターでは,「オビを敷くだけ」(p.84)。本っぽさが出て,遠くからでも目立つようになった。大人向け朗読会のポスターが思ったより柔らかい雰囲気になって悩んだ時には,「グリッドってかしこそう」(p.96)。出演者の写真を正方形にトリミングし,マス目のように配置すると,雰囲気がまとまっていい感じに。

 デザインを勉強したことはないが,ポスター・チラシ作成の必要に迫られている人は多いのではないだろうか。Wordでも再現が可能なほどシンプルにデザインレイアウトを紹介している本書が,悩める戦士の一助となることを期待している。