描きたい‼を信じる
著 者:週刊少年ジャンプ編集部(作)
出版社:集英社
ISBN13:978-4-08-790022-4

「好き」を表現したいすべての人へ

図書館発!こんな本が面白い【書評提供:図書館流通センター(TRC)】

中西一 / 文京区立小石川図書館(指定管理者)
週刊読書人2021年9月10日号


 本が好きな人なら、皆一度は、自分で物語をつくるだろう。頭の中では完璧なコマ割りと流麗なセリフ、繊細さと豪胆さを併せた描写と息を呑む展開が読者を魅了し、ラストには感動とともに前向きな気持ちを与える私的「これはスゴイぞ!」という作品を。しかし実際にペンを持つと気付くのだ、想像を表現することはとても難しいのだと。

 この本は週刊少年ジャンプの編集部が書いたマンガの描き方の教則本で、全部で6章構成になっている。本書の説明にある通り「何も知らないところから、マンガを楽しく描いて上手くなる」コツが載っていて、まず何をすればいいのか、どうやって練習すればいいのかなど一番最初に訊きたいことが丁寧に説明されている。またアナログとデジタル、両方の描き方についておすすめのペンや筆などの道具も載っているのでこの1冊を読み終われば準備万端だ。そしてさすがは週刊少年ジャンプと思わせるのが第3章の「ジャンプ作家アンケート」だ。歴代ジャンプの人気作家がマンガ家を目指す人たちの気になることに答えてくれるというだけではなく、実践的なアドバイスも載っていて、これ程頼りになるものはない。そして、なによりジャンプマンガが好きな人には作家がどのように考えて作品をつくっているのかがわかるので、それだけでも読む価値があるだろう。

 果たして、私はこの本を読み終わったとき、「あぁ、これはマンガの教則本の形をした、あらゆる専門職への啓蒙書だな」という感想を得た。専門職になりたいけど具体的にはどうすればいいか分からないという人から、専門職員になったけれどどういう気持ちで働けばよいのか分からないという人まで、悩みを抱える読み手にとっては有意義な言葉があるはずだ。例えば「精神的な安定を保ちながら上達を目指す」「困ったら原点に」などは、どの専門職にも通じるものがあるだろう。

 実際にこの本を読んでから描いた絵を関連資料と併せて図書館で展示するとおもしろいのではないだろうか。

 この本にも書いてある通り、仕事が辛くなった時、「自分の好きを信じる」ということが、どんな職種であれ大切なことだということを、心にとめておきたい。