カリカリベーコンは どうして美味しいにおいなの? 食べ物・飲
著 者:ANDY BRUNNING 著 高橋秀依,夏苅英昭 訳
出版社:化学同人
ISBN13:9784759819243

カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの? 食べ物・飲み物にまつわるカガクのギモン

図書館員のおすすめ本(日本図書館協会)

野村晴美 / 神奈川県立厚木高等学校図書館
週刊読書人2021年11月5日号(3414号)


 高校図書館に勤める私には新入生に向けてのオリエンテーションで紹介する「持ちネタ」がいくつかある。「アワセオオギって知っている?」「構造色って聞いたことある?」という質問に毎年,新入生全員が頭を抱える。いずれも私が以前,受けたレファレンスから得た「ネタ」である。

 勤務校の「ヴェリタス(ラテン語で「真理」)」と名付けられた課題研究で,テーマ探しができるような内容を,オリエンテーションに盛り込んでいるのだが,何もこうした「聞いたことがないこと」「難しい事象」をテーマにする必要はないのだ。

 「カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなのか」とても気になるテーマではないか!「タマネギを切ると,どうして涙が出るの?」「クリームを泡立たせるとふんわりするのはなぜ?」などなど,どれもこれも気になるテーマばかりがこの本には取り上げられている。

 この本は食べ物や飲み物を扱っているけれど,料理や食品の本ではなく,化学の本である。そして,知っているようで知らない「身近なナゼ」に科学的に答えてくれる本なのである。読み物として読むのももちろん楽しいが,身近なテーマ探しのヒントとなる本として,ここ数年,新入生のオリエンテーションの折に必ず紹介している。一つ一つのテーマに化学構造式が示され,有機化学を使って解説していくという本格的な内容であるが,色彩が美しい写真や図表も多く,わかりやすく解説されているので,化学が苦手な文系の人でも読みたくなる,また,読むことができる,そんな化学の本である。日々の暮らしに役立つヒントも満載。

 「お酒をちゃんぽんすると,二日酔いになるの?」こんな疑問の答えも解説されているので,気になる答えはぜひ本書で!